追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました２

　元気の定義は、果たして身体の健康だけでいいのだろうか。心が健やかでなければ、それは元気とはいえないような気がした。
　プリンスはおそらく、ひどく苦しんでいる……。
「なに、全ては考え方ひとつだ。実を言うとこの状況も、そうそう悲観したもんじゃねえ」
　私が俯いて足もとに目線を落としていれば、ルークがポンッと私の肩を叩きながら、明るい口調で言った。
「ルーク？」
「最悪奴があのままだったら、あんたがペットにしてやりゃあいい。本懐こそ遂げられねえが、あんたのペットになりたいっていう子供の頃の夢が叶うんだ、奴もそれなりに満足だろう」
　……私のペット？　子供の頃の夢？
　ルークの言葉は、まるで意味がわからなかった。
「実はあんたと奴は、昔……っ！　なっ!?」
　突然、ルークが言葉の続きを不自然に途切れさせ、進行方向右側の車窓にガバッと張り付いた。
　……なに？　私もルークと同じ側の窓に目線を向けたけれど、ルークがなにに反応したのかはわからなかった。
「ルーク？　窓の外になにかあった？」
「あったっつーか……。一瞬だったが、本来この場所には生息しないものを見てな」