追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
「ええ。ラファーダ王国には生息しない珍獣でしたので、私も驚きました」
 どうやら、私だけが見逃したようだ。
「そっか、クロフも見たんだ。そんなに珍しい動物なら、私も見たかったな」
「どうでしょう? 単細胞な風貌でしたからね、引っ掻かれたり噛みつかれたりしないとも限りません。そんなものには近づかず、早々にラファーダ宮殿まで行ってしまうに限ります」
 ……単細胞な風貌? それは果たして、どんな風貌なのかと内心で首を捻る。
 とにかく、クロフの口振りは、見なくてよかったとでも言いたげだった。
「それよりもアイリーン、ラファーダ王国はマイベリー村よりも冷えますから、……これを」
 クロフがガサガサと荷袋を漁りだしたと思ったら、中から折り畳んだ布地のような物を取り出す。それをファサッと広げると、私の肩に掛けた。
 え? サラリと首に掠った感触だけで、掛けらた布地が最上級の毛織物と知れる。高級感のある独特の光沢にも、見覚えがあった。
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