追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
「宮殿で、弟のノアールは、あなたに会うのを楽しみに待っています。もし、あなたが慣れない気候で風邪でも引こうものなら、私がノアールに恨まれてしまいます。だからこれは、私のためでもあるんですよ。ですから返品は、受け付けません」
 クロフはスッと腕を伸ばすと、ストールを外そうとしていた私の手に自分の手を重ねて制す。やわらかに重ねられた手には何故か、有無を言わせぬ強さがあった。
 そんな彼を前にして、強固に「返す」を主張することが憚られた。
 私は大判のストールの両端を胸もとでキュッと結び付けると、クロフを見上げて微笑んだ。
「ありがとう、大事に使わせてもらうわ!」
 クロフは僅かに目を見開いて、次いでスッと目を細くした。
「よく似合っています」
 そう言って微笑むクロフはとても嬉しそうで、そしてドキリとするくらい艶っぽかった。
 ……そうよね。こうまで言ってくれてるのに、頑なに突っぱねるのも感じが悪いわ。
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