追放された悪役令嬢ですが、モフモフ付き!?スローライフはじめました2
ノアール王子と王妃様急逝の真相
「そんなに慌てなくて大丈夫ですよ。誰も取ったりしませんし、おかわりもたっぷりあります。だから、ゆっくり召し上がってください」
私は、皿に頭を突っ込み、貪るようにシチューを頬張る体長およそ四十センチのチビちゃんの背中を、安心させるように撫でながら告げた。
手のひらを通して伝わるフワフワの感触に、自ずと頬が緩んだ。
「きゅーん」
私の言葉に、チビちゃんは「そうだった」とばかりに可愛く一声嘶いて、皿から顔を上げた。
黒いツヤツヤの体毛に、クリクリのまあるい目。モコフワのぬいぐるみみたいなその顔が、鼻先から口にかけて白いシチューでべったりと汚れていた。
「まぁ、お口の回りがべたべたですね。ちょっと失礼します」
手巾で拭ってみるも、ツヤツヤの長めの毛にべったりとついてしまったシチューは、お湯で洗い流さないと歯が立たなそうだった。
「うーん。これは、洗わないと落ちなそうですね。では、食べ終わったら洗い流すことにして、今は気にせず食べましょうか」
「きゅー」