かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「一緒に帰るぞ」
 その日の練習後、私は瞬にそう云われた。
 まるで今日はモテ日みたいだ。
 純に呼び出され、瞬にこう云われ。
「え、と、気まずい」
 私ははっきりと応えた。
 去年、つきあったようなそうでないような仲だった、私たち。
 今更、別れて半年経ったあと、こんな風に唐突に言われても、戸惑うばかりだった。
“話してるうちに、また慣れてくるさ”
 彼の言う通り、私たちはそれぞれ昇降口で靴を履くと、お互い吸い付くようにふたりで校門を出た。
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