かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「――そう」
 夕闇に照らされて、瞬の表情は覗い知れない。
 けれど、いつもの殊勝な笑みを浮かべているのだろう。
「バンドも、続けたい……いや、続ける。文武両道」
「それはご立派なこって」
 瞬の前で、どんなテンションでいたらいいのか解らないところがあった。
 瞬は、自閉していた私も、おおっぴろげな私も、知っているから……。
 でも、もう私は振り回されたりしない。
 色々な、過去に。
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