かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 瞬はいっこ上の先輩にあたるのに。
 名前呼び捨てで、タメ口利けるのは――まだ、彼女のようだったころの名残か。
 瞬は歩きながら、私に歩調を合わせながら続ける。
「オマエが、何より一番だった。今までも、そしてこれからも」
「は? いつまでも私を引きずるつもり? 大した付き合いでもないのに」
 彼とのデートらしいデートも、数えるほどだった。
 しかも、弓佳たちのカップルデートも踏まえてだ。
「……どれだけデートみたいなものをしたか、とかじゃなく。違うぜ。どれだけ憶ったか、だ」
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