かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「……難しいことを言う……」
 私は少々困惑していた。
 でも、彼の憶いが私に向けられているのは、しっかりと感じていた。
「――キスしていいか」
 彼は私に向き直り、そんなことを言ってきた。
「ば、莫迦。ダメに決まってるでしょ」
「でも、構うもんか」
「……!」
 私は、両腕を彼に取られ、激しく口を吸われていた。
 そして、粗方吸われた後。
 彼は、珍しく俯いた。
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