かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「これで、最期だ。もう、柚実と会うことは、ない」
「……あ」
 何か私が言葉をかけようとしたのだけれでも、彼は脱兎のごとくすり抜けて走って行ってしまった。
 ……瞬! ……森村先輩……!
“最期”だなんて哀しい言葉を投げつけて、一方的にそれはないんじゃない?
 そう、よくも悪くも興奮していたところだった。
 家塀に、翳を見た。
 そこにいたのは……。
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