かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 純はいつもと変わらない様子だった。
 それが逆に、心底計り知れないので、怖かった。
 結局純とは何の話もできないまま、放課後になってしまった。
「純くん、図書室行こ~」
 甘ったるい声を出し、(そんな声も出せるのかと少々驚いた)純に近づく香花ちゃん。
 私はがたっと席を立ち、純の腕をぐいっと引き寄せ、
「ごめん、香花ちゃん。ちょっと純と話があるの」
と、自分でも凄みを利かせてしまったとちょっと反省しながらも、強引に純を廊下へ連れ出した。
 香花ちゃんは、凄い目で私を見ていた。
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