かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「なに? 鬼気迫って」
 純の言葉に、私は思わず自分の顔を覆った。
 そしてぐいぐいと伸ばしてマッサージをした。
「あの、さ。純、何か聞いた?」
「何かって?」
「その……何か、香花ちゃんから私のこと聞いた?」
 ストレートで勝負するようにした。
「別に」
 即答したのは、怒っているからなのか、本当に何も聞いていないのか。
 やっぱりその深い色の瞳には、何の感情も見出せなかった。
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