かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
なっちゃんは剣道部だ。
そうか。瞬から方向転換をして、その別のひとのところへベクトルを向けたか。
「なっちゃん、瞬先輩からは本気にしてもらえなかったって、一時期落ち込んでたけど」
弓佳はキャップを被り、グローブを手にし、私の肩をぽんと叩いて、
「ほんじゃ、ま、頑張って」
と、ロッカールームから出て行った。
“オマエが、何より一番だった。今までも、そしてこれからも”――瞬はそう云って私の許から消えた。
そうか。瞬から方向転換をして、その別のひとのところへベクトルを向けたか。
「なっちゃん、瞬先輩からは本気にしてもらえなかったって、一時期落ち込んでたけど」
弓佳はキャップを被り、グローブを手にし、私の肩をぽんと叩いて、
「ほんじゃ、ま、頑張って」
と、ロッカールームから出て行った。
“オマエが、何より一番だった。今までも、そしてこれからも”――瞬はそう云って私の許から消えた。