かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 去年、高校1年生だった頃に、瞬とつきあっていたような関係だった頃。
 ある夏の日、私はこのソファで瞬に処女を奪われてしまった。
 祐太の死をずっと引きずり、本来の自分を内に閉じ込めて生活していた。
 そんな私の殻を破ってくれたのは、他でもない森村瞬だ。
 結局、私は彼を恋愛対象として好きにはなれずに、瞬を傷つけてしまった。
 私が、私であることを憶い出させてくれて、瞬には本当に感謝している。
 私にはそれをすることはできないけれど、私は瞬の幸せを願っている。ずっと願っている――。
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