かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 私は色んな意味で暑さを覚え、そのままの脚で、校内で唯一冷房の効いている図書室へ行くことにした。
 何で今日は色んなひとに出くわしてしまうんだ。
 自分の脚を呪った。
 空気の違う図書室へ入った途端に、すぐそこの閲覧席から視線を感じた。
 何やら読書をしていたその子は、私を見ると本を閉じ、立ち上がった。
 私を迎えているようだったので、厭だったけれど、その子――香花ちゃんのいた閲覧席へそのまま歩み、彼女の真向いに座った。
「夏休みなのに、学校へ来てるんですね」
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