かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 後悔はしたくない。
 今、自分の気持ちに素直にならなかったら、一生悔やむことになるだろう。
「な……なに? 柚実」
 小声で弓佳が言う。
「ちょっとごめん――帰る。これ食べていいから」
 私は弓佳の膝の上にキャラメルポップコーンを置いた。
「ちょ、こんな甘いの要らないって――」
 彼女の言い分も聞かずに、私はライブ会場へと急いだ――。
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