かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 可愛らしい子だ。まるで女の子みたいだ。
 祐太が生きていたら、今日で17歳だ。
 私は1月生まれなので、まだ16歳。
 見てみたかったな、高校生になった祐太。
 会ってみたかったな、17歳の祐太。
 私はちょっと涙ぐみそうになる。でも、もう泣かない。
 お線香に火を灯して、祐太に捧げる。
 そして手を合わせ、目を閉じた。
 安らかに、どうか祐太、穏やかに。
 私はそう祈るしかなかった。
 しばし祐太とふたりきりで過ごした後、お母さんが花瓶に私が持ってきたかすみ草を生けて持ってきた。
「お茶にしましょう」
「あの、せっかくですけど、私この後用事があって」
「あらそうなの。残念だわ」
「また来ますから」
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