かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 私の心配をよそに、彼は私に手を差し出した。
 私は戸惑いながらも、その手を握る。
 冷たい手だった。だけどそれが心地よかった。
 純は、ぎゅっ、と一回だけ手に力をいれると、そのまま私をひっぱり、ずんずんと歩いて行った。
 こころのなかに、安堵感が広がる。
 よかった。どうやら純はもう怒ってなどいないようだ。
「じゅーん」
 私は彼の腕に絡みついた。
 頬を腕にくっつける。
 すると彼は照れたように言った。
「暑い」
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