かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「どうして? どっかに入れてくださーい、じゃダメなの?」
 純は首を左右に振る。
「部内のバンドはもう固まってるし、俺たちみたいに3年生が引退で、メンバー欠けたバンドもあるけど」
「入れてもらえば」
 私は喰い気味で言う。
「そんなに簡単じゃないよ。相性ってもんもあるし」
 純は両肘をついて、拳を握り、そこにおでこをあてた。
 さらさらと揺れる前髪。
「圭吾先輩と瞬はよかったと」
「うん」
「圭吾先輩と瞬じゃなきゃ嫌だと」
「……そうだな」
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