かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 圭吾先輩も瞬も、それぞれあたらしい人生に向かって歩き出した。
 瞬は東京の大学を目指しているから、この先もしばらくは離れ離れだ。
「純も東京の大学行ったらいいじゃん。また瞬とできるじゃん」
「あと1年以上もあるんだぜ。俺が大学生になるまで。しかも1回で受かるとも限らないし」
「純はあたまいいから、どこでも大丈夫でしょ」
「そんな簡単に言うけどさ」
「簡単なことじゃないの」
 私はごくごくとメロンソーダで喉を潤した。
 バニラアイスを載せた、メロンフロートが飲みたいな、と暢気に構えていた。
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