かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 私も純の隣に腰を下ろす。この時期の地べたはスカート越しでも冷たかった。
「“別れた恋人を忘れて”って、柚実は瞬から俺にすぐ乗り換えたけどな。何の躊躇もなしに」
「瞬には別に、恋愛感情なんてもってなかったよ」
「そうか」
「その前のひとを忘れるのに、随分かかっちゃったけど」
 祐太のことを忘れさせてくれたのは確かに瞬だ。
 だけど、あれは恋ではない。
 私はくしゅん、とくしゃみをひとつ。
「寒いか」
「大丈夫」
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