かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 その刹那、純は私の手を握ってきた。
「手ぇ、あったかい」
 純の手は細くて冷たかった。
 私は両手で純の右手を包む。
「――ねえ、進路どうするの。やっぱり瞬を追いかけて東京行くの?」
「そうしたいけど」
 ちらり、と彼は私を見る。
「私? 私は地元の国立目指す。あんまお金かからない方向で」
「そっか」
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