かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 そんな茨の道を、純は進もうとしているのかな。
 アマチュアではなく、プロとして。
 ミュージシャンとしての将来を見据えているの?
 私は、何も聞けずにいた。
 純の、本意を。
 だって、彼女でもないんだし。
 そこまで踏み込んだ質問をすることはできなかった。
「でも、まあ。行けるところまで行ってみたいよな」
 ぽつり、呟く彼が、愛しく思えて。
 また、腕に纏わりついた。
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