婚約者は霧の怪異
特別な日
学校についてまずやったことと言えば。
「銀河せんっ……銀河っ! 土曜日ほんっとにゴメン! あとありがとう! 助かった!」
「ふふーん。いいだろういいだろう。あがめたまえ」
まだ誰もいない教室に、一番乗りで銀河は席に座って私達が来るのを待っていた。
そのすぐ隣に行き、私は手を合わせる。
「うまくいったかい?」
「うん……許してもらえた。本当に……本当に良かった」
ぎゅっと目の前で手を握り、目を閉じ再び湧き上がってきた嬉しさを噛みしめる。
ポンポンと私の背中を叩いてから三栖斗は銀河の前の席についた。
「やったじゃん三栖斗、ほらもっと俺に感謝して」
「感謝はしているが……おっと、何かをねだられるかな」
「恩は早めに返しておいた方がいいぜ」
三栖斗は気分がいいらしく、またはそれくらい何が来ても構わないという余裕を見せたいのか……「言ってみるといい」と銀河の席に肘を乗せる。
「マジかよ、考えてなかったから今度決めるわ」
「ふふ、そうか」
「あらまあもう隙だらけで。……悪いヤツに足元すくわれないようにね」
心配ないと言う三栖斗に「そう? ならいいけど」と銀河がなんとも言えない表情を見せ、頬杖をついた。
「あとな、もうひとつハッキリ話もつけてきたぞ」
「ほうほう?」
「人間の世界に私は存在していないから当然バケモノのルールでバケモノの世界においてという事になるが、私達で時期を考えて好きな時に夫婦になっても良いと」
「ほうほうほう? んで? いつにすんの?」
私達3人は顔を見合わせてしばらく沈黙した。
珍しく銀河が「んえ?」と困惑した顔で私達を交互に見る。
「来年4月ーー雛芽の18歳の誕生日に」
「え、何日だっけ」
「4月13日。……実は最初にこの学校で三栖斗に会った日がそうだったんだよね」
だから何というか……特別を全部その日に重ねてしまおうかと我ながら安易な考えでそう決めたのだ。
式とかそういうのは卒業して落ち着いてから。ただ、私達の関係が変わる日。
「ははあ。ロマンスに浸ってるねえ」
頬杖をついたまま銀河が心底おかしそうに笑った。
そこへ、ガラガラと音をたててクラスメイトが入ってくる。もうそんな時間か、と思って振り向くと、怜音だった。
「銀河せんっ……銀河っ! 土曜日ほんっとにゴメン! あとありがとう! 助かった!」
「ふふーん。いいだろういいだろう。あがめたまえ」
まだ誰もいない教室に、一番乗りで銀河は席に座って私達が来るのを待っていた。
そのすぐ隣に行き、私は手を合わせる。
「うまくいったかい?」
「うん……許してもらえた。本当に……本当に良かった」
ぎゅっと目の前で手を握り、目を閉じ再び湧き上がってきた嬉しさを噛みしめる。
ポンポンと私の背中を叩いてから三栖斗は銀河の前の席についた。
「やったじゃん三栖斗、ほらもっと俺に感謝して」
「感謝はしているが……おっと、何かをねだられるかな」
「恩は早めに返しておいた方がいいぜ」
三栖斗は気分がいいらしく、またはそれくらい何が来ても構わないという余裕を見せたいのか……「言ってみるといい」と銀河の席に肘を乗せる。
「マジかよ、考えてなかったから今度決めるわ」
「ふふ、そうか」
「あらまあもう隙だらけで。……悪いヤツに足元すくわれないようにね」
心配ないと言う三栖斗に「そう? ならいいけど」と銀河がなんとも言えない表情を見せ、頬杖をついた。
「あとな、もうひとつハッキリ話もつけてきたぞ」
「ほうほう?」
「人間の世界に私は存在していないから当然バケモノのルールでバケモノの世界においてという事になるが、私達で時期を考えて好きな時に夫婦になっても良いと」
「ほうほうほう? んで? いつにすんの?」
私達3人は顔を見合わせてしばらく沈黙した。
珍しく銀河が「んえ?」と困惑した顔で私達を交互に見る。
「来年4月ーー雛芽の18歳の誕生日に」
「え、何日だっけ」
「4月13日。……実は最初にこの学校で三栖斗に会った日がそうだったんだよね」
だから何というか……特別を全部その日に重ねてしまおうかと我ながら安易な考えでそう決めたのだ。
式とかそういうのは卒業して落ち着いてから。ただ、私達の関係が変わる日。
「ははあ。ロマンスに浸ってるねえ」
頬杖をついたまま銀河が心底おかしそうに笑った。
そこへ、ガラガラと音をたててクラスメイトが入ってくる。もうそんな時間か、と思って振り向くと、怜音だった。