婚約者は霧の怪異
部活見学の翌日、この日は一日曇り予報だった。
「雛ちゃん、おはよう」
マンションの駐輪場で、弘則と出くわした。同じマンションに住んでいるので、昔からこうして時間が合うとそのまま一緒に登校していた。
彼が中学3年で、私が高校1年だった去年は、方向が違うので朝会っても挨拶するだけだったから、こうして一緒に学校に行くのは久しぶり。
「おはよ」
「へへ、一緒に行こう」
ふわふわした表情で弘則が微笑む。
……あとこれも昔から変わらない、まーた後頭部に寝癖がついてる。
「雛ちゃんは昨日の同好会どうだった?」
「楽しかったよ。部活に入るつもりはなかったけど、ちょっと興味あるかも」
「ほんとう!?」
ぱぁぁ、と弘則の周りに花が咲いたように見える。
「じゃあ一緒に入ろう! 雛ちゃんも一緒だったら俺も嬉しい!」
「いいけど、弘則……いいの?」
「なにが?」
「あそこ元オカ研でしょ?」
弘則は怖い話が大の苦手だ。昨日の霧男の話だって実は隣で相当ビビってた。
さらわれるのが女の子じゃなかったら、もっとわかりやすく怯えてただろう。
「七不思議ってことは、あの部活棟にはあと6つのウワサが~……」
「わーわーわー!! 俺聞かないからっ! 学校行こ、ほらっ!」
今までなら絶対置き去りにされることはないのに、ガチャンと自転車留めを外してサーッと先に行ってしまった。
「こらこら置いてくな!」
慌てて私も追いかける。
いつも通りの朝だった。
「雛ちゃん、おはよう」
マンションの駐輪場で、弘則と出くわした。同じマンションに住んでいるので、昔からこうして時間が合うとそのまま一緒に登校していた。
彼が中学3年で、私が高校1年だった去年は、方向が違うので朝会っても挨拶するだけだったから、こうして一緒に学校に行くのは久しぶり。
「おはよ」
「へへ、一緒に行こう」
ふわふわした表情で弘則が微笑む。
……あとこれも昔から変わらない、まーた後頭部に寝癖がついてる。
「雛ちゃんは昨日の同好会どうだった?」
「楽しかったよ。部活に入るつもりはなかったけど、ちょっと興味あるかも」
「ほんとう!?」
ぱぁぁ、と弘則の周りに花が咲いたように見える。
「じゃあ一緒に入ろう! 雛ちゃんも一緒だったら俺も嬉しい!」
「いいけど、弘則……いいの?」
「なにが?」
「あそこ元オカ研でしょ?」
弘則は怖い話が大の苦手だ。昨日の霧男の話だって実は隣で相当ビビってた。
さらわれるのが女の子じゃなかったら、もっとわかりやすく怯えてただろう。
「七不思議ってことは、あの部活棟にはあと6つのウワサが~……」
「わーわーわー!! 俺聞かないからっ! 学校行こ、ほらっ!」
今までなら絶対置き去りにされることはないのに、ガチャンと自転車留めを外してサーッと先に行ってしまった。
「こらこら置いてくな!」
慌てて私も追いかける。
いつも通りの朝だった。