婚約者は霧の怪異
◇
「へえ、弘則くんがね」
部活が終わり、家に帰ると母が餃子を包んでいたので、一緒に手伝いながら話をした。
「メッセージも送ったけど既読にならないんだよね。大丈夫かな」
「もしかしたら具合が悪くて寝ているのかもよ。そっとしておいてあげなさい」
「うん……」
手伝いを終えて手を洗い、お茶を飲もうと冷蔵庫を開けるとそこに近所のケーキ屋さんの箱が入っていた。
「お母さんこれ何?」
「ああ、なんか急にプリンが食べたくなってね。そこのプリン美味しいからデザートに買ってきたの」
「やったっ」
その時、玄関のドアが開く音がして、父が帰ってきた。
「ただいまぁ」
「おかえりー」
「おかえり……あっ」
私は父が手に持っている箱を指さす。今さっき冷蔵庫で見たものと全く同じだったのだ。
「お父さん、それ……何?」
母も気が付いて、恐る恐る訊ねる。
「これ? 今日疲れて甘いものが食べたくなってさ、そこでプリン買ってきたんだけど」
たまらず私が吹き出し、母も笑いだす。
わけもわからず頭の上にハテナマークを浮かべている父に、理由を説明すると父も笑った。
「どうするんだよ賞味期限当日だぞ」
「2個ずつ食べる? 私いけるよ」
「あんたは最近食べ過ぎ。冷蔵庫に入ってるやつを後で弘則くんに持って行ってあげたら?」
ウチでは家族の誰かが風邪を引くと食欲がなくなる事が多いので、食べやすくて栄養もあるプリンを買って来る。
「うん。そうだね。そうする」
「弘則くんどうかしたのか?」
「風邪引いたっぽいんだって」
母がそう言いながら餃子を焼く。
スマホをもう一度確認してみても、既読はついていなかった。
寝ているならプリンだけおばさんに渡して帰って来よう。
「へえ、弘則くんがね」
部活が終わり、家に帰ると母が餃子を包んでいたので、一緒に手伝いながら話をした。
「メッセージも送ったけど既読にならないんだよね。大丈夫かな」
「もしかしたら具合が悪くて寝ているのかもよ。そっとしておいてあげなさい」
「うん……」
手伝いを終えて手を洗い、お茶を飲もうと冷蔵庫を開けるとそこに近所のケーキ屋さんの箱が入っていた。
「お母さんこれ何?」
「ああ、なんか急にプリンが食べたくなってね。そこのプリン美味しいからデザートに買ってきたの」
「やったっ」
その時、玄関のドアが開く音がして、父が帰ってきた。
「ただいまぁ」
「おかえりー」
「おかえり……あっ」
私は父が手に持っている箱を指さす。今さっき冷蔵庫で見たものと全く同じだったのだ。
「お父さん、それ……何?」
母も気が付いて、恐る恐る訊ねる。
「これ? 今日疲れて甘いものが食べたくなってさ、そこでプリン買ってきたんだけど」
たまらず私が吹き出し、母も笑いだす。
わけもわからず頭の上にハテナマークを浮かべている父に、理由を説明すると父も笑った。
「どうするんだよ賞味期限当日だぞ」
「2個ずつ食べる? 私いけるよ」
「あんたは最近食べ過ぎ。冷蔵庫に入ってるやつを後で弘則くんに持って行ってあげたら?」
ウチでは家族の誰かが風邪を引くと食欲がなくなる事が多いので、食べやすくて栄養もあるプリンを買って来る。
「うん。そうだね。そうする」
「弘則くんどうかしたのか?」
「風邪引いたっぽいんだって」
母がそう言いながら餃子を焼く。
スマホをもう一度確認してみても、既読はついていなかった。
寝ているならプリンだけおばさんに渡して帰って来よう。