婚約者は霧の怪異
君が近くにいて
2学期
夏休みが終わり、2学期が始まった。
9月に入ってすぐ、文化祭の準備でクラスも部活も慌ただしくなる。
「お疲れ様です」
「あ、こんにちは小城さん」
部室に入ってきた小城さんを羽野川くんと三栖斗とで迎える。
「まだ他の皆さんは来てないんですか?」
「うん。みんなクラスでのホームルームが長引いてるみたい。文化祭何にするか決まった?」
小城さんのクラスは全員でダンスをするらしい。中庭にはダンスステージが毎年できるからあそこでやるんだろうな。私も去年はそうだった。
「世界各国の踊りをメドレーにしてやるんです。だから一人一人のパートはそんなに多くなくて、ちょっとホッとしてます。先輩たちは何をするんですか?」
「俺のクラスは目隠し迷路。机で補強した段ボールの迷路をアイマスクして進んで、制限時間内にゴール出来たらお菓子あげるんだって」
「なんですかそれは! 面白そうですね!」
小城さんが目を輝かせる。
そういえばそういうの好きだったね……。
「私のクラスは自主製作映画作るよ。撮影は大変そうだけど、当日は教室で流しっぱなしだから結構自由に動き回れそう」
「ええ!? すごい! 楽しそう!」
小城さんは小刻みにジャンプしながら大はしゃぎ。
そんな話をしていると、銀河先輩と継野先輩、そして弘則が一緒に部室に入ってきた。
「お疲れー! あれ? なんか楽しそうね。何の話?」
「クラスの文化祭での出し物の話です。3年生は飲食系って決まってるんですよね?」
「ええ、そうよ。みんな何やるの?」
みんなが自分の定位置に座り、お互いのクラスの出し物を語り合う。
三栖斗がいつも座っているのは私の隣で、それまで変わった様子もなかったのにツンツンとわたしの肘をつついた。
「何?」
私が隣を見ると、三栖斗は小さい声で私だけに聞こえるように言う。
「雛芽。弘則クンと何かあったか?」
「あ。あー……何か見えてる?」
まあ……と珍しく三栖斗がなんとも言えない微妙な表情を見せる。
「あんまり言いたくないけど、じゃあ……後で話す」
「わかった」
みんなの話に意識を戻すと、弘則のクラスの出し物の話をしているところだった。
「俺のクラスはスタンプラリーの企画です。クラス委員がくじ引きで他のクラスとお化け屋敷取り合ってくじ引き負けたんで」
「あははは! それは高村くん、内心ホッとしてるでしょ! お化け屋敷じゃなくて」
「いやあ、まあ、実は」
継野先輩が、ホワイトボードに各メンバーのクラスの予定を書き込み終わると、マーカーのキャップをパチッと閉めた。
「ウチの部活はどっかの教室を借りて、予定通り当日は短時間でできるゲームの体験会をやろうと思う。当日は交代で進行役をするってくらいで、事前に準備するものはあまりないかな。ともかくクラスの出し物優先でいいからね」
「はーい」
「わかりました」
その後、当日やるゲームの相談などをしてその日の部活は終わった。
9月に入ってすぐ、文化祭の準備でクラスも部活も慌ただしくなる。
「お疲れ様です」
「あ、こんにちは小城さん」
部室に入ってきた小城さんを羽野川くんと三栖斗とで迎える。
「まだ他の皆さんは来てないんですか?」
「うん。みんなクラスでのホームルームが長引いてるみたい。文化祭何にするか決まった?」
小城さんのクラスは全員でダンスをするらしい。中庭にはダンスステージが毎年できるからあそこでやるんだろうな。私も去年はそうだった。
「世界各国の踊りをメドレーにしてやるんです。だから一人一人のパートはそんなに多くなくて、ちょっとホッとしてます。先輩たちは何をするんですか?」
「俺のクラスは目隠し迷路。机で補強した段ボールの迷路をアイマスクして進んで、制限時間内にゴール出来たらお菓子あげるんだって」
「なんですかそれは! 面白そうですね!」
小城さんが目を輝かせる。
そういえばそういうの好きだったね……。
「私のクラスは自主製作映画作るよ。撮影は大変そうだけど、当日は教室で流しっぱなしだから結構自由に動き回れそう」
「ええ!? すごい! 楽しそう!」
小城さんは小刻みにジャンプしながら大はしゃぎ。
そんな話をしていると、銀河先輩と継野先輩、そして弘則が一緒に部室に入ってきた。
「お疲れー! あれ? なんか楽しそうね。何の話?」
「クラスの文化祭での出し物の話です。3年生は飲食系って決まってるんですよね?」
「ええ、そうよ。みんな何やるの?」
みんなが自分の定位置に座り、お互いのクラスの出し物を語り合う。
三栖斗がいつも座っているのは私の隣で、それまで変わった様子もなかったのにツンツンとわたしの肘をつついた。
「何?」
私が隣を見ると、三栖斗は小さい声で私だけに聞こえるように言う。
「雛芽。弘則クンと何かあったか?」
「あ。あー……何か見えてる?」
まあ……と珍しく三栖斗がなんとも言えない微妙な表情を見せる。
「あんまり言いたくないけど、じゃあ……後で話す」
「わかった」
みんなの話に意識を戻すと、弘則のクラスの出し物の話をしているところだった。
「俺のクラスはスタンプラリーの企画です。クラス委員がくじ引きで他のクラスとお化け屋敷取り合ってくじ引き負けたんで」
「あははは! それは高村くん、内心ホッとしてるでしょ! お化け屋敷じゃなくて」
「いやあ、まあ、実は」
継野先輩が、ホワイトボードに各メンバーのクラスの予定を書き込み終わると、マーカーのキャップをパチッと閉めた。
「ウチの部活はどっかの教室を借りて、予定通り当日は短時間でできるゲームの体験会をやろうと思う。当日は交代で進行役をするってくらいで、事前に準備するものはあまりないかな。ともかくクラスの出し物優先でいいからね」
「はーい」
「わかりました」
その後、当日やるゲームの相談などをしてその日の部活は終わった。