私も異世界で魔法を使えました!
イベント(マシェリー)
夕暮れのひと気の無い学園の廊下を、満足気なわたくしと、少し疲れた足取りのエマが、話しながら歩いています。
「楽しかったです。エマ、全部制覇できましたわ。ありがとうございました」
「私もあんな感じの物、大丈夫な方だけどね、何故貴女は?幽霊に、近寄って行くの!奥の奥まで侵入しようとするのよ。私、冷や汗かいたわよ」
「それは、今度王都でホーンテッドハウスを、わたくしが創るからですわ。
バOオOザー Oや、リ Oグや呪 Oや吸 O鬼や、江戸時代を題材にして製作いたしますのよ。
ぜっーたいに今日のよりも、数倍リアルになると思いますわよ」
「意味は解らないけど、行きたくないわ」
エマはとても嫌な顔をしながら、廊下に飾られている絵画を眺め歩いています。
「絶対!利益を出せると思いますのよ。わたくし部屋に戻って、お父様に企画書かきますわね。
後、化粧の上手な方を探さなければいけませんわね。
それでは失礼致しますわ」
言った後、寮まで走って逃げようとしたわたくしをエマが、素早く捕まえましたの。
もうちょっとで逃げれたのに…
「ちょっおっとまったぁー!
マシェリー何言ってるの。
今から控え室に行って、ドレス着替えてレオナルド様のエスコートで、ダンス踊るんじゃあなかったの?」
立ち止まり両手を捕まえられました。
そこまでしますか?
「目立つの嫌なのです」
「ドレスも贈られてきてたでしょ?
あのドレス凄いよね。
マシェリーにとても似合ってると思うよ。
綺麗なブルーの生地で、銀糸の細やかな刺繍を施してあってあれはなかなかのものだよね」
近いです…顔をそんなに近づけても嫌なものは嫌ですの。
「だから嫌なんですが…」
「諦めてエスコートされてダンスして来なさい!」
……強く言われると、逃げれませんわね。
本当に、逃げられるとは思っていませんでしたし…
「ふぅーわかりましたわ、着替えてまいりますわね。エマは着替えませんの?」
「着替えるわよ。エスコートも従兄弟に頼んでいるしね」
やっと腕を解放してくれましたわ。痛くは無かったですが。
「それでは一緒にまいりましょう」
掌を出すとしっかり握ってくれましたわ、エマ大好きですわ。
「だね!」
控え室に入ると、奥に3人だけ着替えを手伝ってくれる方が、座って居ました。
ドレスが残り2つ掛けてあるという事は、わたくし達の為に待たせて居たという事ですね、反省しました。
着替えと髪と化粧も軽くして貰って完成ですわ。
完了したら片付けをして、出ていかれましたわ。
後はお互いのパートナーが来るのを待つだけです。
「マシェリー流石だね。ちゃんとドレス着こなせてるよ、似合ってる。
綺麗と可愛いの狭間だからちゃんと色っぽいし、瞳の銀のキラキラが際立ってみえるよ。
流石第二王子様だね!女の子の事がよく分かってらっしゃる」
2人椅子に座って、お互いのドレスを観察しておりますの。
自分で見下ろしても綺麗なドレスですわ、認めますわよ。
エマのドレスも元気いっぱいって感じで好きですわ。
「ありがとうございます。
エマも良く似合ってますわよ、元気なエマそのもののドレスですわね。
オレンジ色で花の刺繍が、ワンポイントでエマらしいです。可愛い」
「ありがとうマシェリー」
2人で褒めあって、笑いあってこれで終われば良いのに。
これからエスコートと、ダンスですか…ダンスは別に下手な訳ではなくて、淑女の嗜みとして幼少の頃から完璧に踊れますわよ。
エスコートも、お父様にして貰って何度かは経験ありますから、解らないわけではありませんの…ただ漠然とした不安が付きまとうのです…第二王子様と関わる事に対して。
エマと2人、お互いのパートナーを待っています。
先ににエマの従兄弟様がいらっしゃいましたわ。
エマはダンスホールに楽しそうに、行ってしまいましたわ。
しばらく待っていますと、トントンとドアをノックする音が聞こえました。
「ごめんね。遅くなったね待たせてしまって…うわぁドレス良く似合うね。
思った通りだったね」
流石第二王子様ですね
「さぁ。早速だけど行こうか」
腕をスマートに出してくれてます。
わたくしも、スマートに腕を差し入れましたわ。
「はい。よろしくお願いします」
ダンスホールは、キラキラでしたわ。
皆様楽しそうに、クルクル回ったりターンしたりと、なかなか激しい踊りの方もいらっしゃって。
年齢層が若いだけあって、個性豊かなダンスですわ。
今日は楽しいのが第一らしいので、こんな感じになるのでしょうね。
わたくしも、最初の2回はレオナルド様とクルクル回ったりしまして楽しかったですわ。
その後は、他の女性に譲りましたのよ、皆様の瞳が怖かったのですわ。
今日のホーンテッドハウスの幽霊よりも怖かったのです。
学園のイベントはとても楽しい1日でしたわ。