シークレットシープ


私が打ったサーブは、綺麗な放物線を描いて、無事にネットをまたいで相手コートに入った。


返ってくるボールに備えて、私は駆け足でコートの中に移動する。



体育の授業の中でバレーがいちばん好き。
私は楽しく授業に取り組むことができた。


授業中、たまに視界に入る深沢君はいつも体育館の壁にもたれかかってボーッと宙を見ていた。

たまーに、先生に怒られながら。


ケンカがむちゃくちゃ強くて力も体力もあるのに、なんで体育に参加しないんだろう。



体育のあとは着替えて生物の授業。
それが終われば7限目の数学Ⅱの授業で今日の全科目終了。

皆お待ちかねの放課後の時間だ。


窓の外からは運動部のかけ声が聞こえる。
廊下からは吹奏楽部が奏でる有名なクラシック音楽のメロディーが聞こえてくる。


音にあふれる決して静かとは言えない教室で穏やかに寝息を立てることができる彼はすごいと思うんだ。



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