シークレットシープ
そんなことを考えていると、先生の深いため息が聞こえてきた。
「……浦部、ありがとな。もういい。放課後残らせて1時間補習する」
「あっ、はい……」
深沢君、どんまい。
放課後頑張れ。
教室の前の黒板の左端に書いてあるのは“中間試験まであと8日”というカウントダウン。
“あと10日”から始まって、あっというまに残り8日。
私もだけど、そろそろ本気で勉強しないとまずいよ、深沢君。
あー……やだなぁ、テスト。
5限目が終わり、やってきた休憩時間。
相も変わらず深沢君は隣の席で眠っている。
「……牛?この人、牛なの?」
私の席にやってきた小鳥がちらりと深沢君を見ながらそう言う。
牛。
なるほど、絶妙なたとえ。
「梨良、よく深沢君の相手できるよねぇ」
「え?」
「だってさ、梨良は中学の時から成績優秀な優等生じゃん?でも深沢君はそんな梨良と正反対。素行不良の問題児。よく渡り合えるよね」