シークレットシープ



深沢君は、その門を見事くぐれたんだ。
内申点の力を借りずに。


その時点で、お察しだよね。
頭良いんだよ。

当日のテストでいい成績を残したんだと思う。


まあ、この高校が内申点よりも入試でとったテストの点数を重要視するって決めてるのも彼の入学に加勢したんだろうな。



授業さえ真面目に受けて、きちんとテストを受けさえすれば私の成績なんて簡単に越えられるはずなのに。


『俺はあいつのステータスにはなりたくない』



そう言って、頑なに真面目に頑張ろうとしない。

彼にも彼の事情があるから、優等生になれ、とまでは言えないけど。


でも、先生の眉間の皺を増やすのはやめてあげて……。
いつか眉間の皺だけじゃなくて、ストレスで白髪が増え始めるかも……。



「浦部さん」


「笹野君。どうしたの」


私の席にやってくるなんて、珍しい。
委員会関係のことで何かあるのかな。



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