シークレットシープ
そう言って、とても優しく微笑みながら、お母さんと同じくらいの歳をしてそうな店員さんが、深い赤色の紙袋を差し出してくれた。
「あっ、ありがとうございます」
お礼を言って、袋を受取ろうとすると、私の手が袋に届くよりも先に深沢君の手が紙袋を受け取った。
「ありがとう」と口には出さないけれど、ペコリと店員さんに軽く頭を下げる深沢君。
そういうところ、いいと思うよ。
……あっ。
お店を出て気付いちゃった。
「袋、別々にしてもらうの忘れた……。あと深沢君にお金払わなきゃ!!」
今私のコップは深沢君にお金を払ってもらっている状態。
奢らせてる……!!
財布を取りだろうと、カバンの中に手を入れると。
「別にいい。……迷惑料」
「え?私、深沢君に迷惑かけられてないよ?」
きょとんとして深沢君の顔を見ると、深沢君は小さくため息をついた。
「おひとよし」
「え?」