シークレットシープ
「……あっ、あそこの雑貨屋さん行きたい。アクセサリー、可愛いんだ」
ふいに目に入った、木やレースを基調とした素朴だけど可愛らしい雰囲気の雑貨店を指さして言うと深沢君はうなずいて私についてきてくれた。
「このイヤリング可愛いなぁ」
視界に入った、さくらんぼのようなイヤリングを手に取る。
赤くてつやっつやの球が、2本の細い針金の先にそれぞれついているイヤリング。
これからの時期にピッタリかも。
……でも、買っても結局休日しかつけないから、あまり使ってあげられないなぁ。
「お前は耳あけねーの?」
「痛そうなことはしたくない……」
「ビビリ」
「どうとでも言ってください。嫌なものは嫌です!!」
頬を膨らませながら、手に取ったイヤリングを、もとあったガラスの器の上に戻した。
「買わねーの?」
「うん……。あっ、ここお手洗いあるからちょっと借りてくるね。少し待ってて」