シークレットシープ
「もう、意地悪な言い方しないでよ……。食べるの好きなのは否定しないけど……」
「……じゃあ、あそこ入るか」
そう言って深沢君が指さしたのは、ペットショップのふたつ隣にあるワッフル屋さん。
さっきから漂っている魅力的な香りの正体はワッフルだったんだ。
「うん、行きたい!!」
木のテーブルの上、深沢君の前にはホットコーヒー。
私の前にはバターが乗ったシンプルなワッフルがある。
「……ねえ、深沢君」
「何」
ワッフルにフォークとナイフを入れつつ、何も気にしてない風を装って言ってみた。
「そんなに家に帰りたくないなら、今日うちにおいで。前みたく、一緒にご飯作ろうよ」
「……警戒心なさすぎだろ。家に招いたりして、俺に襲われてもいいわけ?」
……そんなこと言って。
「深沢君に私を襲う気があったら、私はとっくの昔に襲われてるよ」