シークレットシープ
「……ムカつく。俺のこと、よく分かってるみたいな言い方しやがって」
「少なくとも、クラスメイトの誰よりも深沢君のことを理解してるつもりだよ」
そう言って、ナイフで切ったワッフルを口に含み、ちらりと深沢君を見ると。
「……うっぜ」
そう言いながらも、朝してたみたいな険しい表情はしていなかった。
ひとりで、2LDKの部屋で過ごすのは、いつも少し寂しい。
だからね。
深沢君が来てくれるの、私が嬉しいんだよ。
「……俺を家に招けるってことは、相変わらず、お前んちの爆弾も家に帰ってきてないのか」
その言葉に、私はピタリとナイフを動かす手を止めた。
「……もう、帰ってこないでいいけどね」
自分の口から出た声は、思っていたよりもずっと低かった。
いけない、怒ってるって思われるかも。
ニコッと口角を上げて、電話するときみたいにいつもより声のトーンを上げて。
「なんてね!!」