シークレットシープ

似たもの同士

【梨良Side】



「荷物持ってくれてありがとう」


私が玄関のドアを開けると、深沢君は中に入って、持っていた買い物袋を廊下に置いた。


「お前……俺がいるからって洗剤とか米とか重たいものも買いやがって……」



ジトっと私を見てくる深沢君。
だって……ひとりで運ぶの、大変なんだもん。


「いやー……ごめんね?」


「……別に謝らなくていいけど。とりあえずキッチンまで運ぶけど、入っていいか」


「あっ、うん。ありがとう!!」


靴を脱いで廊下にあがった深沢君は買い物袋を持ち直して、廊下の先にある扉の方に進んでいった。

本当……言動と行動が一致しない人。

重い荷物運ぶのが嫌になったら、途中で私に押し付けることもできたのに、彼はそれをせずに、スーパーから家までずっと持ってくれていた。

今も、小言を言いながらも荷物をキッチンまで持って行ってくれている。


お礼に、夕食のあと私秘蔵の美味しいコンビニプリンをあげよう。



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