シークレットシープ
なんか……ムキになってるの可愛いな。
深沢君を横目に見て微笑みながら、私はピーラーを手に取り人参の皮を剥き始める。
人参の皮って、ぼーっとしてたらどこまで剥いたか分からなくなるよね。
私よくそれで剥きすぎちゃう。
「……ほら、できた」
さっさと剥き終わって、包丁で人参を切っていたら深沢君がしたり顔でたまねぎを見せてきた。
「時間かか……丁寧に剝いてくれてありがとう」
危ない。
『時間かかったね』って言っちゃうところだった。
深沢君は満足そうに、人参を切っているまな板の上にたまねぎを置いた。
「リビングの掃除してくる。掃除機と布巾どこ」
「えっ、もうカレー作り離脱⁉」
「俺がするよりお前がした方が手際いいだろ。だから掃除してる」
「あ、ありがとう……掃除機は廊下のクローゼットに入れてて、布巾はこの棚の中……」
そう言って、丁度お腹の位置くらいにあるキッチン収納の取っ手を掴み引っ張って、花柄の布巾を取り出す。