シークレットシープ




「……もう、帰ってこないでいいよ。顔も見たくない」



スプーンで大きめに切ったじゃがいもを切りながら言うと、深沢君は何も気にしてないような、普段と変わらない口調で言った。



「優等生なお前には許せないだろうな、そんな身勝手」



「……私も、お姉ちゃんがいないからって深沢君を家に上げるっていう身勝手をしてるけどね」
 


「じゃあ、お前も不良だな」




不良とか、初めて言われた。


私とは無縁の言葉だと思ってたけど……。


そうだよね、高校生の娘が同級生の男の子を家に連れ込んでるって、お父さんやお母さんからしたら不良娘だ。



「あはっ、じゃあ今私と深沢君は一緒なんだ」



「俺は不良じゃねーよ」



「どの口が言う」



「うるせ」




深沢君はそう言ってスプーンに乗せた大きめの人参を私の口の中に突っ込んできた。




「ひょっと、ほー!」




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