シークレットシープ




服着てタオルを頭に引っ掛けて、テレビ見ながらタオルドライするのがいつもの私のルーティン。


すると、おもむろに深沢君が立ち上がり歩き始めた。



「えっ、どこいくの?」



そう後ろ姿に尋ねたけど、答えはなく。

戻ってきた深沢君の手の中には赤いドライヤーが握られていた。



「乾かすぞ」


「……やってくれるの?」


「……晩飯代」



……深沢君、もう今日の晩ごはんのお金出してくれてるのに。
でも、お言葉に甘えちゃおうかな。



「じゃあ、お願いします」



毛先が絡まらないように、丁寧に左手で髪を梳きながら、右手でドライヤーの熱を当ててくれる深沢君。



テレビの音も聞こえず、会話もなくただドライヤーの起動音だけが室内に響く。



優しい指先がたまに頭皮に触れると、少し心臓がうるさくなった。



根本も毛先も綺麗に乾くと、彼はスイッチを切ってコンセントを抜いた。



「ありがとう」



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