シークレットシープ




「お前、髪綺麗だな」



なんともないようにそんなことを言って、彼は立ち上がりリビングから出た。


……髪、綺麗って。
女の子にとって、その言葉は最高の褒め言葉だよ。


嬉しい。
きっと、私じゃなくても、深沢君にこう言われたらどんな女の子も空飛べちゃうくらいテンション上がると思う。



舞い上がる気持ちを鎮めるため、近くにあったクッションをぎゅっと抱きしめて体中に入っている力を逃した。



それから、リビングに戻ってきた深沢君と課題をしたりテレビを見ながらどうでもいい話をしたり。


そうこうしているうちに時計の針は23時を指していた。



「あ、そろそろ寝ないとだ……深沢君、どこで寝る?お姉ちゃんの部屋のベッド?会ったことない人のベッド使うの嫌だったら、私リビングのソファで寝るから私のベッド使って」



「俺がソファだろ。俺が転がり込んでんだから」



「えっ?」



深沢君はあぐらをかいていた床から立ち上がり、ソファにダイブ。

背もたれにかけてあったブランケットを身体にかけて横になった。



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