シークレットシープ
「うちのソファ硬いから身体痛めるよ……足苦しそうだし」
折り曲げられた長い足を見ながらそう言ったけど、深沢君は頑なに動かず。
……意地っ張り。
「お前がリビングから出るまで俺寝ないから」
「えっ、寝てよ」
「夜寝れないのなんか慣れてるし。とにかくお前が寝るまで寝ない」
冗談っぽく言うけど、それ問題だよね……。
そして、ふと思いついてあることを口にする。
「……深沢君、私がいないと安眠できないでしょう?だったら私ここにいる」
「いいからお前は布団で寝ろ」
何を言っても、どれだけ私が粘っても深沢君はソファから身体を起こさない。
30分間の攻防の末、根負けしてしまった。
「……分かったよ、部屋に行くよ」
「ぜひそうしてくれ」
ソファのそばから立ち上がり、私はリビングから出た。
しばらく廊下に立っていると、ピピッと電気のスイッチの音がして、リビングのドアから漏れていた光が消えた。