シークレットシープ




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時計の針は2時を指している。
たくさんの生き物が寝静まる時間。


私は毛布1枚を持って自分の部屋を出る。


足音を立てないように、ゆっくりゆっくり歩いて。


リビングのドアをそっと開け、深沢君が眠るソファのもとへ一直線。



ソファの前に座り、背中をソファにもたれかからせる。



そのまま毛布を自分の身体にかけて、くるまっているとその暖かさでだんだんとまどろんできて……。



ウトウトしていた、そのとき。




「……お前、バカだろ」



ふわりと優しく頭を撫でられた感覚。
低くて優しい、いつもより少し小さな声が耳に届いた。



……深沢君だけソファで寝るなんて、だめだよ。


それに、あなたは私がいないと深く眠れないでしょ?



だから私が一緒にいてあげる。


最近あった嫌なこと全部全部忘れられるように。


数時間後、清々しい気分で朝日を浴びられるように。



私は、あなたを眠らせる羊だから。





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