シークレットシープ
「いやー、でもさ、やりたいって言う人いなかったから『1年のときもやってた浦部さんにお願いしよう』ってなったから、それで浦部さんに怒るのは違くない?」
「それはそうだけどさぁ」
苦笑いしながら会話する女の子たち。
横暴な子がクラスの中で発言力を持ったら大変だけど、みんなはこんなに優しい。
だから私も安心して学級委員ができている。
……発言力はそこまでないけど。
ところで。
「なんで私なら敵視しないの?」
さっき感じた疑問を口にすると、皆キョトンとした表情で、言った。
「だって、深沢君と付き合ってるんでしょ?」
…………。
そうだった。
みんなの中では、私と深沢君は“デキてる”んだった。
なるほど。
彼氏持ちの子なら、笹野君と付き合ったりしないから、敵視しないでもいいっていうことか。
「あの……私……」
「浦部さんは深沢雅玖と付き合ってないよ」
私が言おうとしたことを、笹野君が先に言った。