シークレットシープ
苦笑いしながら、そう言ったとき。
目の前にいる女の子たちが驚いたような顔をした。
……私、何かおかしなこと言った?
首をかしげたその瞬間。
ポコッと、後頭部に筒のようなものが当てられた感覚がした。
驚いて肩を震わせてから後ろを振り返ると。
「梨良、甘いもんばっか食ってると牛になるぞ」
丸めた英語のワークを持った深沢君がいた。
「もう!暴言吐かないでってば!……ていうか、なんでまだ学校にいるの?帰ってなかったの?」
「これ見ればわかるだろ」
そう言って筒状になった英語のワークを、心底嫌そうな表情で私の顔の前に突きつけた。
……ああ、課題出してなくて先生に捕まってたのか。
「偉いね。逃げなかったんだ」
「は?何言ってんだよ。今逃げてる最中だろ」
……はい?
「深沢ぁ!!トイレ行くって言って出ていったけど、トイレにいないじゃないか!どこにいる!」