ねぇヒーロー、名前を呼んで
私が席に着いた後、先生がHRを始めた


頬ずえをついて窓の外を見る


そこには綺麗な青空が広がってるんだろうけど私には灰色に見える


歳を重ねるにつれて感情が薄れて言ってる気がする


何にも興味がわかない


前の学校でも無愛想だの陰キャなどとさんざん悪口を言われてきた


それももう慣れたし何も感じない


なんでこんなになってしまったのか私にもわからない


小さい頃からあんまり明るい子ではなかった


だから父からも暗い子だと虐げられていた


「じゃあこれで終わります」


先生の声とともにみんなが立つ音で我に返る


「気立!礼!」


号令とともにクラスの女子たちが一斉にこちらに向かってくる


「ねぇ、どこから来たの?!都会だよね?!」


「いいなあ!彼氏とかいたの?!」


体を乗り出しながら聞いてくる女子たちに普通だったら「いないよ!!」なんて、明るく返すはずだ


でも私は


「いない」


無表情のまま俯いて返した


「あ…そう、なんだ」


気まずい雰囲気が流れ次々と女子たちが帰っていく


「やっぱ暗いね」「話さなきゃよかった」


などと聞こえてくる


本当は私だって仲良くしたい


でも、信じて裏切られるくらいなら仲良くしない方がマシだ


裏切られるのは怖い


もう誰も信じたくない


私は過去を思い出した


ここに転校してくる前のこと


尻もちをつく私を指さし笑う声


頭からかけられた水


トイレにしりもちつきながら見上げたその先には信じていた親友の姿


もう、あんな思いはしたくない


傷つきたくない





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