2月14日
 家まであと50メートルぐらいのところに来たとき、健太は唐突に立ち止まった。

「あのさ……」

 そう言って、またしばらく黙り込む。

 そのあとがなかなか続かない。

「何? どうしたの? もしかして恋の悩み? 女子の気持ちが知りたいとか?」

 わたしたちは同い年だけれど、誕生日はわたしのほうが3カ月早い。

 子どものころの3カ月差はけっこう大きい。

 だからずっと、お姉さん的ポジションを保ってきた。

 そのときも、わたしとしては、弟に話しかけるようなつもりでいた。

 ところが……
 
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