うるせえ、玉の輿。
「虹村さーん。宅配ですー」
来た。
業平の運命の相手だ。間違いない。
純真無垢でこちらに危害を加えてこないような小動物が、業平は好きだ。
かわいらしい宅配員に違いない。
クッキーとペットボトルをお盆に乗せて玄関の靴箱に置いてから、玄関を開けた。
どうしてインターフォンを鳴らさないのか、鳴らさなくても鳴らす前にあいつは開けているのか、それぐらい好きなのか。
ハムスターを想像して扉を開けたら、おっぱいが目の前に見えた、
ピンク色の、フラミンゴのロゴが胸に小さくついているポロシャツがぱっつぱつのおっぱいが見えた。
「え、え、あの、に、虹村さんのご自宅、です、よね?」
不安そうな声が頭かあら振ってきたので、見上げた。
ピンク色の帽子の下、狼狽える大男がいる。
一歩下がって、二歩下がって、ゆっくり扉を閉めた。
驚いた。ハムスターじゃなくてクマだった。ツキノワグマとかじゃなくてグリズリー系のクマだった。
だからクマの包み紙のクッキーなのか。
「あ、あのう……」
「そうだった。えっと私は、業平に荷物を受け取るように留守を預かった幼馴染の怪しいものではないのですが、その」