うるせえ、玉の輿。



 私は恋のキューピット。
なんて思う暇もないほど、二人は固まった。
いや、ジョージさんが固まるなら分かる。なんで業平まで固まってるの。

「あの、虹村社長は俺のことを可愛がってくれてますが、それは仕事だけっていうか。ね!」

本人にその気なんてねえよ、とはっきり言われた業平は固まるしかない。
が、これでジョージさんは恋愛感情が一ミリもないと気づいたんだから、次はその先もだ。


「業平、はっきり言っちゃいなよ」
「え、えーっと」
「ライクじゃなくて、ラブだって」
「きゃー」

叫びながら、ジョージさんをソファから押しのけて、ソファに突っ伏すと、クッションの下に頭を埋めている。

「え、っと?」
おろおろする彼に、放り投げたファイルを渡すと首を振られた。
受け取りたくないらしい。ゴミ箱に投げ入れてみる。

「分かったわ。丞爾くん。私ね、あなたのことが、ずっと可愛いなって思ってたの」
「はい」
「ちょっと隣の部屋で抱いてもいいかしら?」

ジョージさんの口がネコみたいな可愛い口になった後、目が点になって首を傾げた。

「俺が、虹村社長を」
「いいえ。私が丞爾くんを」


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