うるせえ、玉の輿。
「あ、行く。男同士でもやることは一緒でしょ。私、合いの手入れるよ」
「私が丞爾くん、丞爾くんが麻琴ちゃんでさんぴーよ」
「さんぴー?」
新しい単語が出たぞ。そんなん保健体育で習ったっけな。
「ジョージさん、さんぴーらしいけど」
振り返ってジョージさんに一応合意を求めてみたら、今度はジョージさんの目に涙が溜まっていた。
「え、なに? どうしたの、今度はなんで? え?」
「あら、丞爾くん、大丈夫よ。私がリードするから」
二人で顔を覗き込むと、目に涙を溜めた190センチ以上のガチムチ筋肉の彼は頬を膨らませて顔を真っ赤にして震えている。
「どうしたの、じゃないです。三人とか、普通に考えてありえないです。俺は嫌です」
「私が邪魔なら私は肉を食べて帰るよ」
「だから! 俺は貴方が好きなのに、虹村社長に、だ、だ、抱かれるとか、ありえないでしょ。それに」
ジョージさんは、仲良く手をつないで寝室に向かおうとしていた私と業平の顔を見る。
「二人は……二人は愛し合ってるのに、俺をからかって楽しいですか!」
「愛?」
「しあってる?」
「俺は二人のおもちゃではありません! 失礼します!」
ほわんとして今まで一度も怒ったことなさそうな、そんな温厚な彼が怒っている。
めちゃくちゃに怒っている。
いや、これは怒るというより、傷ついている感じだ。
「あのね、丞爾くん」
肩を掴もうとした業平を、彼はバッと勢いよく振り払った。