うるせえ、玉の輿。
「社長なんて、嫌いですっ!」
「うっ」
業平に一万のダメージ。業平はソファに倒れながら死んだ。
「麻琴さん」
彼はドアの方へ歩いていくと、ドアノブに手を回している手を止める。
「貴方も虹村社長も、屈折しています。俺には理解に苦しみます」
「……そう」
「それでも、俺は貴方が」
続けて何か言おうとしたとき、コンコンとノックされ、頼んでいたコース料理が届いた。
「虹村さま、失礼いたします」
ホテルの従業員の声に、開けたのはジョージさん。
なのに、従業員の横をすり抜けると、彼は飛び出してそのままエレベーターに乗り込んだ。
「ジョージさん!」
「……あのう、お料理はここに、置いて、おきます……ね?」
「あ、え、はい」
彼を追いかけるべきだったのかもしれないけど、でもソファで突っ伏して死んでいる業平の介抱もしたい。
それなら選ぶのは業平だ。
「……」
私はいつも、自分で決めて生きてきた。
教えてくれる親は、親としては頼れなかったから。
でも業平を選ぶ、その選択が正しいのか。
私には、何が正しいのか分かっていないのかもしれない。