うるせえ、玉の輿。

「ごめんなさいね。あの子が何を考えてるのか……ちょっとうまく説明できないし、私もすべて理解しているかわからないの」

そう言いつつも、社長は俺を見る。

「ただ私が望むのは、玉の輿レベルの幸せ。あの子をお姫様にしてくれ平凡で優しくて、頼りがいのある旦那様と幸せになってほしかっただけ」

どこですれ違ってしまったか、拗らせてしまったのか分からないわ、と呟く。

「一つ、お聞きしますけど、社長」
「はい」

「僕は麻琴さんが好きです。けど、貴方は女性として彼女を愛していますか？」


同じ土俵にいるのなら、俺は社長には勝てない。

麻琴さんの気持ちも、幸せにする力も、全部社長の方が持っているから。

「私じゃ駄目よ。私は論外」
「そうじゃなくて、貴方の気持ちを聞いているんです」